読谷山焼 北窯 松田米司親方が安南(ベトナム)の白土のみで化粧掛けした染付安南碗です。
古来、沖縄では白化粧土に恩納村安富祖周辺で採れる白土を使ってきました。
米軍基地、宅地開発などの諸問題で年々掘削が困難になり、現在では新たに入手することはほぼ不可能になり、代替手段として天草陶石を混ぜて使うことが増えているようです。
ここから米司親方の夢が始まったのです。
沖縄陶器のルーツは嘗て琉球王国時代に安南、中国南部などから島伝いに伝来した焼物に在ると謂われています。古い時代のそれらの焼物と沖縄の陶器を比較すると多くの共通点が容易に見つかります。
米司親方は沖縄の伝統的な陶器を作り続けるにあたり、その陶土も沖縄で産出されるもの、またはそのルーツに根ざした地域のものを使いたいという強い気持ちでベトナムへ土探しの旅に出ます。
川瀬美香監督作品のドキュメンタリー映画「あめつちの日々」でもこの経緯については述べていますし、買い付けの様子も同行し記録されています。
以来、安南の土と米司親方の闘いの日々が始まりました。
この安南染付碗は沖縄の胎土に安南の白土のみで化粧した上に琉球呉須で加飾されています。未だ試行錯誤の真っ只中ですがこの碗からは15世紀頃に安南で作られた陶器の香りをも仄かに漂う時空を超えた魅力的な仕上がりになりました。
まだ始まったばかりの米司親方の夢の続きに期待したいと思います。
あめつちの日々 公式ウェブサイト
http://essay.tokyo/tsuchi/
スタッフ
プロデューサー: 高田 明男 Akio Takada
監督 撮影 : 川瀬 美香 Mika Kawase
編集 構成 : 大重 裕二 Yuji Oshige
音楽 : 明星 Akeboshi
ロゴ デザイン: ロ リレイ Liling Lu
協力
しかまファインアーツ
米司工房より独立された皆様、鈴木勲、木下裕子、西川里枝、小島 圭史
琉球村、日本民藝館、株式会社ビクセン
写真:読谷村、「終焉」邊土名朝功
参考資料:「沖縄の陶器」昭和47年発刊 琉球電信電話公社
川瀬美香監督作品
2015年/日本/92分/ATMK 配給
(c)Art True Film